ESGと技術の評価

1998年の創立以来、グッドバンカー社では、企業のESGへの取り組みが、いかに競争力と成長、すなわちサステナビリティにつながるかという観点から、企業の技術動向に強い関心を持ってきました。そのため、実際の調査対象企業のみならず、大学やシンクタンク、研究開発専門企業などと、随時勉強会を開いています。

最近、関西ベースのある研究開発企業と、化学業界の環境対策、生分解性プラスチックなどの素材についての勉強会を持ちました。

講師は、大手化学会社に在籍時から、CDやDVDなどに使うポリカーボネイト、ギア・バネなどの機械部品に使うポリアセタールなどを開発。プラスチックは、文明生活を支えるために重要だが、負の面があるのは事実なので、リタイアした仲間6人とこれらの課題を解決するものを作ろうと考え、10年前にこの会社を設立しました。

環境に良いプラスチックは、コストが2~3倍と高いので、創業から8年くらいは売れなかったが、ここ2~3年は、やっと社会がある程度の高コストを容認するようになってきたとのことでした。

会社は事務所があるだけで、実際の研究は提携する大学でやってもらっています。資本も、人も十分ではない、という状態なので、特許を出し、技術パッケージにして売り、購入企業から、技術を使った製品売上の数%をノウハウ料として支払ってもらうビジネスモデルです。社員は、70代5人と40代の経理を担当する女性で構成され、「5人の爺さん」がいるので、自分たちを「5G企業」と呼んでいます。

仕事は基本リモートで、目標は与えるが、休みも自由、働きたいときに働くというスタイルです。社名は、フランス語の「楽しむ」から取ったそうです。

会社の事業についての詳しい説明、プラスチックの効用と害、特にマイクロプラスチック汚染をどう解決していくか、多角的なアプローチが必要であること、バイオプラスチックと生分解性プラスチックの違いや、各社が競っている技術の優位性をどう評価するか、など専門家の知見を惜しみなく提供していただき、アナリスト達にとって、大変有益な時間でした。

第二次大戦後、日本経済をけん引したソニーのような企業の成長は、創立メンバーに軍の技術将校出身者が多かったことがあったのでは、とも言われています。ESGへの取り組みが、競争力と結び付くために、企業の技術力の伸長を長期的に見定めていくこと、サイエンスと技術への理解が、今後ますますESGアナリストに求められていくでしょう。

株式会社グッドバンカー
リサーチチーム

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