ESG投資から見た企業の災害支援活動

2024年1月1日に発生した令和6年能登半島地震の被災者の方々へ、心よりお見舞い申し上げます。

今年は、年明けから大きな天災・人災が相次ぎました。政府をはじめ、多くの企業、民間団体、個人が支援を行っていますが、企業はそれぞれの業態に沿った支援が見られました。
重機メーカーが建設機械、フォークリフト、発電機などの機材を無償で貸与したり、現地に水循環型の手洗い機とシャワー設備を搬入したりした東北の企業もあります。
東京オリンピック・パラリンピックの選手村でも使用された段ボール製の簡易ベッドは、今や災害時の避難所に欠かせないアイテムとなりましたが、その開発のきっかけとなったのは2011年の東日本大震災でした。今回も、被災地に各地の自治体や企業から多くの段ボールベッドが送られました。
水や食料、生活物資の供給拠点となるコンビニは、東日本大震災や2016年の熊本地震などの経験から、生活インフラとしての役割が期待されています。「災害対策基本法」に基づく指定公共機関にもなっており、被災地への迅速な物資支援を行ったほか、従業員の安否確認システムも整備されていました。

災害の発生や新型コロナ感染拡大などの緊急事態の頻発により、企業においては在宅勤務が進みました。多様な就労形態を可能にする体制を整えておくことが、事業を継続していくうえで有効であったことから、働く環境の整備はライフイベントを迎えた人への単なる両立支援のための人事施策ではなく、リスクに対する会社のレジリエンス(回復力)を高めるものであるとの認識が広まりました。その上で、いかに生産性や効率性を高めるかが重要課題となっており、それは企業の成長性や競争力につながるものです。

また、緊急時の意思決定プロセスを確立するなど、BCP(事業継続計画)を構築することも重要です。平時よりある程度の権限を地方に分散するなどしていた企業は、災害時の初動対応の現場権限を支社に委ね、本社が後方支援を行うという体制をとることができました。また、物資の調達や流通ルートの確保など、様々な対策も必要です。
つまり、事業を継続できることは、サステナブルであるということです。その点からも、緊急事態時の教訓を活かし対策ができている企業は、自社の事業継続と救援活動が可能であり、地域社会との共存に貢献している会社として、ESG投資の対象になると言えます。

株式会社グッドバンカー
リサーチチーム

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