地域貢献– Community –

出水麓サムライプロジェクト

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プロジェクトの目的・意義

  1. 出水地域の人的・経済的活性化を図る
  2. 出水にある歴史遺産の再生と認知度の向上を目指す
  3. 出水居住者および国内・海外からの来訪者への研修・修養の場と機会を提供する
  4. 出水、薩摩藩の歴史(「麓武家屋敷群」)・武術(「日置流腰矢指矢」)・文化・生活の紹介と理解を促進させる
  5. 「出水兵児(へこ)」、「郷中(ごじゅう)教育」の掟と“武士道精神”(“サムライスピリット”)を学ぶ場とする
  6. 統治(ガバナンス)システムとしての“武士道精神”を世界に発信する
  7. 「SDGs/ESG」の啓蒙・普及活動の拠点とする

2019年に『薩摩の武士が生きた町―武家屋敷群 麓』が日本遺産に認定された。出水市麓地区は日本最大級の武家屋敷群である。
薩摩藩の代々の藩主たちは「国を守るのは城でなく、人である」と考え、「国防の重点を士民の訓育」におき、『郷中教育』と呼ばれるスパルタ教育を行った。
数え年6~7歳から20歳までの青少年を特に厳しく鍛え、武勇や信義を尊ぶ気風を養成していった。

出水麓は、肥後国と接する薩摩の表玄関にあたり、薩摩中から剛勇の士を集め、国境の守りとして、1630年頃から「薩摩藩最大の麓」を形成した。
この地の人々は尚武の気風が強く、「出水兵児」と呼ばれた。
その生活規範は、『出水兵児修養の掟』として今に伝わり、7歳から暗唱させている小学校もある。

出水麓の武家屋敷群を整備することで、内外の来訪者に生活体験を提供し、『出水兵児修養の掟』に代表される武士道の哲学、そのバックボーンとなっている日本文化(神道、仏教など)を学習・体得してもらう(“サムライスピリット・センター”) 。

武士道、郷中教育関係の書籍や資料を集めたライブラリーを併設し、オーガニック茶や環境配慮特産品を販売し、地元の住人への雇用創出をはかる。

世界的なトレンドとなってきた『SDGs / ESG』と“武士道精神”のつながり、 『SDGs / ESG』の定義、企業・団体の取り組み、分析・評価手法の講義などにより、啓蒙・研修活動の機会とする。出水麓を『武士道精神』の中心地(Center for Samurai Spirit)として、将来的には西洋の騎士道など武士道に通じる世界の統治思想を研究する国際会議「サムライ・サミット」などの開催も検討する。

プロジェクトの内容

(1).麓武家屋敷群の整備・更新・再活用を行うことで、前記の目的の拠点とする
(2).「多目的利用ホール・研修所」を建設して、学習・研修および武芸・音楽鑑賞の会場とする
(3).幼児・小学生を対象とした「出水兵児」「郷中教育」の学習を行う
(4).鹿児島、九州を中心に全国の金融機関(銀行、証券、信金、日本郵政etc.)と学校関係者を対象とした、「SDGs/ESG」に関する啓蒙・普及活動を行う
(5).邦楽(琴、三味線、尺八、笙etc.)や日本舞踊の鑑賞・発表会などのアートイベントを開催する
(6).武家屋敷群での宿泊、生活体験、文化体験(習字etc.)
(7).SNSサイトとインスタグラムでの地域・イベントの国内・海外への情報発信と参加者・来訪者との交流
(8).NPO法人「麓街なみ保存会」との協働により、「麓武家屋敷地区」の整備・活用をすることで持続可能性を図る
(9).麓武家屋敷群を映画・時代劇の撮影の舞台として活用してもらう
(10).出水の知られざる歴史遺産を紹介(情報発信)することで、先人を顕彰し認知度を高める

(株)近畿日本ツーリスト九州鹿児島支店とのコラボレーション案件

  • 薩州島津家墓所
  • 供養塚(第7代藩主忠辰)、三百塚(家臣300人供養塚)
  • 感応寺五廟(ごびょう)社
  • 山田昌巌(しょうがん:第3代地頭)の墓
  • 城山(亀ヶ城)
  • 特攻記念公園(指令所地下壕、掩体壕)
(11).「日置(へき)流腰矢指矢」の理解・認知度の向上

薩摩藩では、藩主をはじめとして家臣・郷士共に武術の錬磨に努めた。
なかでも弓術が盛んであり、鉄砲の出現により戦いの様相が一変する以前の、弓を主体とした戦法が「日置流腰矢指矢」という名称で日本では唯一、出水にて伝承されている。
「日置流腰矢指矢」のデモンストレーションは年2回行われるが、関係者以外には知名度が低く見学者も少ない(2019年20名程度)。
知名度を上げることにより、国内外からの弓道関係者、武道関係者、愛好家が出水を訪問する切っ掛けとなる。

(12).“ハーベスト・ステイ(麓地区の農作物・果樹収穫体験)”

“ハーベスト・ステイ(麓地区の農作物・果樹の収穫体験)”希望者を全国から募集して、果実の収穫と枝打ち、樹木整備、草刈りを行ってもらう。
収穫物は原則持ち帰り or 宅配郵送とする。
既に試験的に実行しており、好評だった。

(13).“ワーケーション・ステイ(在宅勤務)”

今回の「新型コロナウィルス感染拡大」を切っ掛けに普及・拡大した、地方・在宅・オンライン勤務の需要に対応して、麓武家屋敷を短期・中期のオフィスとして貸し出すことで滞在・宿泊料収入を得る。

参考

武家屋敷は建築様式として、環境負荷の少ないものであることは実際に宿泊してみて分かることであり、今後のサステナブル建築の開発に対し、若い世代を鼓舞し、インスパイアすると期待される。

NPO法人「麓街なみ保存会」では現在、男女のボランティアが公開されている武家屋敷の歴史について、説明役になっているが、高齢化が問題になっている。サムライ・インターンの若者達の参加で、今後ボランティア数の拡充も見込まれ、定住者も期待できる。

武家屋敷群での宿泊と武道体験を可能にすることで、内外の武道関係者の出水市での合宿、国際試合、親善試合などが期待でき、もともと武道への関心が強い出水地区の武道人口の増加が見込まれる。
テニス合宿の聖地としての志賀高原があるように、出水市を武道合宿の聖地にすることが可能である。

出水には第二次世界大戦中、海軍の飛行部隊がおかれ、ここから有為の若者たちが特攻攻撃に飛び立った悲劇は、阿川弘之氏の「雲の墓標」の小説に詳しい。特攻隊の若者たちは、しばしば武家屋敷に滞在していたことを古老は伝える。その事実を歴史遺産として伝え、海軍飛行場跡地も整備する。

出水は1593年まで、薩州島津家により統治されていた。
最後の殿様、島津忠辰は、歴史的には病死とされているが、豊臣秀吉の勘気にふれ、朝鮮出兵の陣中で切腹させられたとの伝承がある。

「遺骸を奉じて朝鮮から出水に戻ると、出水は秀吉預かりになっていた。殿様の遺骸は代々の薩州島津家の墓に葬ることも許されず、家臣の野間口氏の土地に葬られた。一緒に帰ってきた家来の出水兵児たち300人は、この有様に悲憤慷慨して浜辺で一斉に切腹したと伝えられている。
家臣の野間口氏は400年にわたり、一族の責務として殿さまの墓を守りお祀りしてきたが、高齢化により墓の管理もままならぬと嘆いている」(野間口氏:談)

この墓と家来達の切腹した跡を祀る塚を整備することも検討する。

討ち入りをして主君の仇を討った赤穂浪士の物語は「忠臣蔵」となり、サムライの忠義のシンボルとして、リメークされてハリウッド映画にもなっている。自刃して抗議した出水兵児の忠義を知る人は、この出水の地でも少なくなっている。しかし、これは「もうひとつの忠義の物語」として、伝える価値があるのではないだろうか。
公のために尽くす精神というのは、日本に限らず、どの時代、どの国でも尊いものとされ、その究極の形としての武士道や騎士道のバックボーンを見直すことで、現代における公と私の合一のあり方が見えてくるのではないだろうか。
統治思想としての武士道が、現在大ブームのESG(環境・社会・ガバナンス)投資の評価軸として有益ではないか、という私論も発表されている。

「ESGと武士道」

株式会社グッドバンカー 代表取締役社長 筑紫 みずえ

企業のE(環境)S(社会)G(ガバナンス)の調査・評価を専門とする投資顧問会社、グッドバンカーを設立してから22年目に入った。昨今、いろいろなメディアでESG投資がとりあげられているが、実は、投資手法としての有効性については、懐疑的な見方も少なくない。しかし、国連のSDGsとのからみでESG投資を金融のSDGs版と位置づける流れが出ており、ESG投資のメインストリーム化につながるのではないかと注目している。そのことはESG調査・評価が確実に投資成果に結びつくという証明がますます求められるということである。そのため、過去から当社に蓄積された膨大なビッグデータを京都大学などと協同して、E・S・Gのどのファクターが、どのように企業価値に結び付くかの解析を行っている。最も難しいと感じるのはG・ガバナンス(企業統治)である。そのため、企業以外に政府や国際機関、軍隊、NPO、宗教団体など、組織と名のつく全てのもののガバナンスに関する情報を収集することに努めている。

最近、「武士道」を集中的に学習している。実は、グッドバンカー社は日本最大級である、鹿児島県出水市の武家屋敷群のひとつにサテライトオフィスを構えている。実際にオフィスとして使用していく中で、統治階級の武士たちの生活の場が、いかに戦闘を想定した、リスク管理と攻撃の思想でデザインされているかを、日々感じさせられている。例えば、隠し部屋や女・子どもの逃走用ルートの存在、外に対する見晴らしの良さ、また、極めて遠方からの物音が容易に拾えるのに対して、その反対はないということなどである。いったん戦闘に入れば、全ての武家屋敷の門は閉じられ、全体が要塞と化す。それぞれの家には井戸があり、自給自足を旨としていたので、籠城戦にも強い。今でも、知る人ぞ知る近道や、明らかに道と誤認させ、敵をおびき寄せるためのものであろうと推測される場所も、あちこちに見うけられる。まさに「治にいて乱を忘れず」という発想であり、それは企業統治の要諦でもある。

そのため、武士階級の統治の思想としての「武士道」を研究すれば、ESGにおける企業統治評価のヒントが得られるのではないか、特に薩摩の場合、江戸時代の300年を通して、表面はともかく、内実は徳川幕府に対して、心理的には臨戦状態にあったと推測されるので、ここで「薩摩武士道」を研究することは意味があるように思うのである。

(「月刊資本市場」2019年9月号 おりおりの記より)

「出水兵児修養掟」

士は節義を嗜(たしなみ)み申すべく候
節義の嗜みと申すものは、口に偽りを言わず、身に私を構えず、
心直にして作法乱れず、礼儀正しくして上に諂わず(へつらわず)、
下を侮らず、人の患難を見捨てず、己が約諾を違えず、
甲斐甲斐しく頼もしく、苟且にも(かりそめにも)下様の賎しき物語り
悪口など話の端にも出さず、譬(たとえ)恥を知りて首刎ねらるるとも、己が為すまじき事をせず、死すべき場を一足も引かず、
その心鉄石の如く、又温和慈愛にして、物の哀れを知り、
人に情あるを以て、節義の嗜みと申すもの也

「出水兵児修養掟」(英語訳)

“Code of conduct of Izumi Bushi

A Bushi keeps true to his principles. This means that he never tells a lie, never puts himself forward. With a straight heart he always shows good manners and keeps the correct attitude (Reigi Tadashii).
He doesn’t kowtow to his superiors, nor looks down on those below him. When he sees someone in distress he doesn’t turn away, and he never fails his promise. He puts his heart in his work, is reliable, and gossip never comes over his lips.
For example, even in danger of having his head cut off, rather than face shame, he doesn’t falter nor retreats even one step facing a certain death.
His mind is like steel or rock, but his heart is tender and full of love and, understanding the ephemeral quality and fragility of life, he is full of compassion.”

Byakko Dojo(スペインの合気道道場) ホームページより

期待される活性化効果

  1. 国内・海外からの観光客の増加
  2. 研修生・ゼミ合宿生の来訪者(口コミ効果を期待)
  3. 武道部・運動部の合宿者(とリピーター効果)
  4. “麓地区の農作物・果樹収穫体験”来訪者による地域活性化
  5. “DXワーキング”希望者による地域活性化
  6. 地元の女性、若者への雇用機会の提供
  7. 地元のホテル、食堂、弁当業者、温泉、タクシー会社、観光施設への経済波及効果
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