AIはサステナビリティ? ―「変なホテル」の取り組み―

「変なホテル」という名前のホテルがあります。

ある旅行大手グループが、2015年に長崎に第1号店をオープンさせたことを皮切りに、現在では全国に20施設を数えるまでになりました。

世界初の「ロボットが働くホテル」として、ギネスにも認定されたユニークなホテルです。当社のアナリストが、金沢市で1周年を迎えた「変なホテル」に滞在してみました。まずチェックイン時にレセプションに向かうと、2匹の大きな恐竜がこちらを向いてふりかぶり、「いらっしゃいませ」と音声を発しつつ、おじぎをして、手前のタッチパネルに住所等の情報入力を促します。入力が一通り終わると、下からカードキーが排出され、ここに至るまで、人間は一切登場しません。ホテルによって、このロボットの種類にはバリエーションがあり、美しい女性像だったり、3Dのホログラムで映し出された侍や執事だったりするようです。

もちろん、不測の事態が起こった場合のために、モニターでチェックしている生身の人間が裏にいて、必要に応じて現れるのですが、各部屋には電話もなく、代わりに常備されたAIタッチパネルを通じて、ホテル従業員を呼び出したり、情報収集ができるようにもなっています。

ロボットホテルの名前どおり、ポーターやお掃除にもロボットが駆使されることにより、グループの他のホテルに比べて、必要な従業員数は大幅に減少、生産性が上がったそうです。業績は上々で、海外からの顧客にも絶大な人気を誇っています。

こうした話題性を超えて、このホテルチェーンは創業当初より、サステナブルな取り組みも積極的に行っています。

例えば、あるホテルは、建材としてCTL(Cross Laminated Timber)という、木材パネルが国内初で使用され、遮音・耐久性を持つと同時に、10㎝厚のパネルが1.2m厚のコンクリート壁と同等の断熱性能を持っています。このパネルに使用する木材は、すべて地元産で、地産地消を意識しています。

そしてエネルギー自給については、自立型水素エネルギーシステムが導入されています。再生可能エネルギーと水素でCO2フリーな電力供給を行えるのが特徴で、これにより、1年を通じて水と太陽光のみで、客室12室分の電力を自給自足できるようになりました。 「変なホテル」の「変」とは、「変わり続けるという意志表示」だそうです。業界に例のないアイデアを次々と打ち出すこのホテルチェーンの、AIとサステナビリティの両立をはかる試みに、今後とも注目していきます。

株式会社グッドバンカー
リサーチチーム

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