8月5日から15日まで、スイスのジュネーブにおいて、プラスチック汚染に関する法的拘束力のある国際文書(条約)の策定に向けた政府間交渉委員会(INC)が開催されました。これは、2022年3月の第5回国連環境総会再開セッションにおいて、「プラスチック汚染を終わらせる:法的拘束力のある国際約束に向けて」が採択され、2024年末までに5回のINCが開催されてきたものです。前回のINCで合意に至らず、今回の協議は6回目となります。今回、1000人を超える各国代表団が集まりましたが、EUや海洋プラスチックごみの被害を受けやすい島しょ国など多くの国が生産規制も求めているのに対し、プラスチック原料となる石油産出国などが強く反対し、14日までだった会期を延長して交渉が続けられましたが、最終的に合意に至ることができませんでした。
日本は、このプラスチックごみによる汚染の根絶をめざす国際プラスチック条約の制定に向けて、2023年11月に国内10社で「国際プラスチック条約企業連合(日本)」を発足しました(2023年11月のレポート「企業の先見性に投資する」参照)。同連合は今年6月、法的拘束力のある調和の取れた国際ルールを基盤としたプラスチック条約が、環境汚染の解決だけでなく経済活動にも有益であるとする新たな分析結果を発表していました。それによると、プラスチック製品の規制や設計、廃棄物管理などに関するルールが、各国で異なる「分散ルール」の場合と、国際的に統一された「調和の取れたルール」の場合とで、経済や環境に与える影響を比較すると、後者の場合、世界のプラスチック関連の経済活動規模は2040年に1兆4400億ドルに達し、2025年比で31%増大すると試算しています。さらに、不適切に管理されるプラスチック廃棄物の削減やリサイクルの質と量を向上させる定量的な効果も示されました。
しかし、残念ながら条約の合意には至らず、次の交渉会議の開催の目途もたっていません。経済協力開発機構(OECD)の予想では、抜本的な対策がなければ、2060年までにプラスチックごみは2019年の約3倍に達するとみられています。海洋においても、2050年にはプラスチックごみが魚の量を上回ると予測されています。これらのプラスチックは大気や水資源などの環境を汚染し、生態系に、そして人体にも影響を及ぼします。マイクロプラスチックは食品や飲料水を通じて人の体内に取り込まれ、血液や便からも検出されるなど、その影響も徐々に明らかになり、健康リスクへの懸念が高まっています。
このように、地球規模の視野をもって事業活動を行う企業こそ、地球環境の持続可能性に貢献する会社であり、そのようなESGに考慮した投資を行うことは、未来の私たち自身のためでもあると言えるのではないでしょうか。
株式会社グッドバンカー
リサーチチーム
