この1月、アメリカのワシントンで、主要7カ国(G7)やオーストラリア、インド、韓国、メキシコなどの財務相や閣僚が集まり、レアアース(希土類)など重要鉱物に関する閣僚級協議が開かれました。そこでは、有志国で連携してサプライチェーンを整備し、中国への依存度の引き下げを加速させることで一致しました。
昨年は、アメリカによる関税措置に対抗して、中国はレアアースの輸出規制を強化、台湾有事を巡る高市首相の国会答弁を巡っても、同様に規制する方針を示しています。アメリカでは、この輸出規制により、自動車大手フォードが生産を一時的に停止せざるを得なくなるほどの影響を受けました。もし、本格的に輸出規制が実行されれば、日本でも企業の事業活動に深刻な打撃を及ぼす可能性が高く、3カ月で約6,600憶円の経済的損失が出ると予想されています。
埋蔵量だけでみれば、レアアースのシェアは中国が約5割を占めています。しかし、採掘された鉱石から不純物を取り除く精錬段階では、約9割という圧倒的なシェアを占めているのです。
なぜ、このようなことになるのか――。精錬過程では放射性廃棄物、酸性廃液などの大量の環境汚染物質が発生するのですが、その処理には高いコストや技術を要します。しかし、中国は環境規制が緩く、劣悪な環境で働く低賃金の鉱山労働者により、低コストで供給を続けることができたと言われています。
今回の輸出規制によって、さらに注目が高まったレアアース。日本では、調達先の拡大や近海の海底の試掘を開始するなど、対応に取り組み始めています。けれども、私たちはこれを機に、レアアースの背景にある様々な社会的リスクにも目を向けなければならないのではないでしょうか。
日本は、2010年にも、尖閣諸島沖での中国漁船衝突事件により、中国によるレアアース輸出規制を経験しています。このとき、主要レアアースの国内価格が約1年で10倍近くに高騰し、自動車産業ではコストが数千億円規模で上昇したとの推計もあるなど、深刻な影響を受けました。一方で、約9割だったレアアースの対中依存度を、6割程度にまで下げた経験もあります。
以来、株式投資においても、「レアアース関連銘柄」は何かと注目されています。また同時に、レアアースを使用しない製品を開発している企業にも期待が高まっています。 企業への投資を通して持続可能な社会構築をめざす――それが、ESG投資の目的です。今後の日本企業の持続的な事業活動と成長、そしてそれによる経済の活性化をめざして、レアアース関連投資においても、企業の環境活動やサプライチェーンにおける人権や労働環境への取り組みなどにも注目していきます。
株式会社グッドバンカー
リサーチチーム
