毎年、SDGsが採択された9月25日を含む9月末の約1週間は、SDGs週間として位置付け、様々なイベントが開催されています。2015年に国連でSDG’sが採択されて10年――。今年6月、国連系の民間研究組織「国連持続可能な開発ソリューション・ネットワーク」(SDSN)が年次で発行している「持続可能な開発報告書(Sustainable Development Report)」の 2025年版が公表されました。報告書では、2030年をゴールとするSDGsの進捗状況をまとめ、世界と世界各国のSDGsの達成度合いを評価しています。それによると、SDGsの評価可能な139のターゲットのうち、「順調に進んでいる」のは18%、「中程度の進歩」が17%、「まったく進歩していない」が17%、「後退している」が18%となっており、このままいけば17のゴールはいずれも達成されないと見込まれています。特に、目標2「飢餓をゼロに」、目標11「住み続けられるまちづくりを」、目標14「海の豊かさを守ろう」、目標15「陸の豊かさも守ろう」、目標16「平等と公平をすべての人に」について、軌道から大きく外れていると指摘しています。その背景には、自然災害、ウクライナやガザなどでの戦争や紛争、貧困の拡大、国際協調の停滞などによる影響があると考えられます。
SDGsについては、日本でも非常に知名度が高く、幼児に対するSDGs教育も行われているほど身近で、よく耳にするワードとなっています。しかし、同報告書によれば、日本のSDGs達成度は世界167ヶ国中19位で、昨年よりも1つ順位を落としました。達成しているのは、目標1「貧困をなくそう」の1項目です。課題とされたのは、目標5「ジェンダー平等を実現しよう」、目標12「つくる責任 つかう責任」、目標13「気候変動に具体的な対策を」、目標14、目標15であり、女性議員の少なさや化石燃料の利用によるCO2排出、水産資源の乱獲などが指摘されました。また、動物性食品の摂取量の多さや化学肥料の多用が環境に負荷をかけており、農業の持続性に課題があるとされています。日本は、目標1のほか、目標3「すべての人に健康と福祉を」がほぼ達成、目標9「産業と技術革新の基盤をつくろう」と目標11「住み続けられるまちづくりを」が達成見込みとされています。
達成期限はあと5年。以前、このレポートでも書いたように、ESG投資は、いわばSDGsの金融版ともいえます。ESG投資を行うことで、企業のSDGsへの取り組みを促進することへとつながります。今月末のSDGs週間、世界が持続不可能な方向へと向かっている今、個人としてのSDGs活動として、金融面から参画するESG投資について考えてみてはいかがでしょうか。このように、地球規模の視野をもって事業活動を行う企業こそ、地球環境の持続可能性に貢献する会社であり、そのようなESGに考慮した投資を行うことは、未来の私たち自身のためでもあると言えるのではないでしょうか。
株式会社グッドバンカー
リサーチチーム
