企業の先見性に投資する

2023年11月、プラスチックごみによる汚染の根絶をめざす国際プラスチック条約の制定に向けて、国際プラスチック条約企業連合が日本でも国内10社で発足しました。

国際プラスチック条約企業連合は、2022年9月にサーキュラーエコノミーを推進するエレン・マッカーサー財団とWWF(世界自然保護基金)の呼びかけで発足したグローバルな企業連合で、プラスチックのバリューチェーンに関わる企業や金融機関、NGOなど160以上の団体が参加しています。この企業連合は、廃棄プラスチックによる汚染を阻止するための野心的な国連条約の締結を共同で求めており、2024年末を目途に多国間の条約交渉が終了するまで活動を継続する予定としています。日本の企業連合も、発足当日、日本政府に対して「法的拘束力のある野心的な条約」を求める、との声明を発表しました。

昨今のプラスチック問題への関心の高まりを受け、関連企業ではプラスチック製の製品や容器包装の使用量を削減したり、環境負荷の低い原料に変更したりするなど、様々な取り組みを行っています。

日本のある航空会社は2050年までに資源類の廃棄率ゼロをめざし、機内食で使用するプラスチック製のカトラリーやマドラー、容器の素材を変更する取り組みを進めています。一方、容器自体を食べられるようにすることで、ゴミの削減に貢献している企業もあり、まさに脱容器を実現する取り組みです。

国連環境計画(UNEP)の報告書によると、日本はアメリカに次いで世界で二番目に一人あたりの使い捨てプラスチックの廃棄量が多いと言われています。しかし、ここで述べたような企業の技術開発は、私たち個人の意識やライフスタイルの変容を促してくれるものです。そして、私たちがその製品やサービスを積極的に利用することにより、プラスチック使用量を減らし、持続可能な社会を構築することに貢献することができます。

国際条約が制定されれば、プラスチックに対するより厳しい規制が行われることになるでしょう。実際、企業連合(日本)は、経済的手法や財政的インセンティブの導入、監視および報告体制の構築、大企業、多国籍企業、および金融機関によるプラスチック関連の情報開示の義務付け等を視野に入れています。

これまでも、様々な国際規制に企業は対応してきましたが、こうした社会の流れに先んじて取り組む企業に、今後の成長性があると見ています。

株式会社グッドバンカー
リサーチチーム

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