ESGと新NISA

2月13日は「213」で「NISAの日」でした。弊社のオフィスがある東京証券会館のホールでも、「NISAの日」にちなんだイベントが開催され、お笑い芸人たちが登壇するということで、若い女性であふれかえりました。

今年1月より始まった新しい少額投資非課税制度「新NISA」は、抜本的拡充・恒久化が図られたことにより、高い注目を集めています。金融庁の速報によると、昨年12月末のNISA適用対象の証券口座数が国内全体で2136万口座(18歳以上)と、1年で19%増えたとの発表もありました。この1月の大手証券10社の新NISA口座を通じた購入額は計1兆8431億円で、わずか1か月で日本証券業協会が集計した会員証券会社経由の2023年1~3月期の購入額1兆8625億円(旧NISAの「つみたて」と「一般」の合算)とほぼ並んだと報道されました。新NISAでは、つみたて投資枠と成長投資枠の併用が可能で、非課税保有期間が無期限となったほか、生涯投資枠が従来の3倍となる1800万円に拡充されたことで、資産形成の手段の一つと考える人たちも多く参画しています。

1月4日に3万3000円台で取引が始まった日経平均株価は、この「NISAの日」、1990年1月のバブル経済崩壊以来34年1カ月ぶりとなる3万8000円台をつけました。アメリカの株式市場が史上最高値を更新していることや、日本企業の好決算、また東京証券取引所がPBR(株価純資産倍率)の低迷する上場企業に対して改善策を開示・実行するよう要請したことなどを背景に、まさに「昇龍の如く」上昇しています。このような市況や新NISAの追い風により、企業への投資が進み、投資家がそのリターンを享受する好循環が生まれることが期待されます。政府は、今後も広報に注力し、官民が連携して周知していく方針で、NISA総口座数を3400万件とする目標を掲げています。

2023年12月、金融庁は、ESG投信やグリーンボンドを「新NISA」で動く個人資産の受け皿にしていくため、運用会社や販売会社、企業、投資家がESG投信などの課題や普及の促進策を話し合う「サステナビリティ投資商品の充実に向けたダイアログ」を設置しました。サステナビリティやESGをテーマにした投資信託の残高は、2023年9月末時点で欧州は約2兆3000億ドル、米国は約3000億ドルであったのに対し、日本は230億ドルにとどまっていることを問題視しているためです。ESGを謳いながら実態を伴わない「ESGウォッシュ」を防ぐため、金融庁は2023年3月に監督指針を厳格化しました。名ばかりのESG投信を取り締まる目的でしたが、これが運用会社の後ろ向きな姿勢を招き、新規設定は年10~20本と、100本近くあった2021年から大きく後退してしまいました。けれども、企業の持続的成長を見るESG投資は長期投資であり、「つみたてNISA」などとも親和性が高いと言えます。「新NISA」で資産を形成するとともに、持続可能な社会の形成にも貢献できると良いですね。

株式会社グッドバンカー
リサーチチーム

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