高値圏に躍り出た日本株の見方

現在の世界的な株高を支えている理由として、以下のような楽観論と期待感がある。

 ① 中央銀行による資金供給が際限なく続く

 ② 景気が需要不足なので“カネ余り状態”

 ③ 行き場のない「余剰資金」が株式市場に流入している

 ④ 政府による大規模な経済対策により景気は回復する

 ⑤ 「新型コロナウイルス・ワクチン」の接種・普及により感染拡大が収束する

 ⑥ 「ポスト・コロナ」時代に向けての「デジタル化促進」と「グリーン・エネルギー」投資の需要・市場が拡大することで、恩恵を受ける企業が存在する

以上のような相場上昇の基本的な構造要因に変化がない限り、“バブル症状”を示している

株式市場に投資資金は流入し続け、株価は“行くところまで行く”勢いにある。

それでは、株価にブレーキがかかる切っ掛け、懸念、悪材料としては、何が考えられるのか。

株価水準が短期的に過熱感があるだけに、“頭の体操”をしておく必要もあるだろう。

 ①(金利要因)= 悪い金利上昇

新型コロナの世界的感染がワクチン接種効果により終息するとの観測が強まり、景気・経済が正常化する見通しが高まることから、以下のような懸念が高まってくる

・ FRB(を中心とした中央銀行)での金融緩和政策からの方針転換

・ 大量の国債発行による財政ファイナンスを嫌気した長期金利の上昇

・ 金利が上昇してくることで、政府の利払い負担は増大

・ 公的債務水準と債券発行増加と金利上昇を嫌気した“負のスパイラル”

②(インフレ要因)

   景気と需要回復からの商品市況の上昇を受けて、米国のインフレ率見通しが短期間で年率2%を超える見通しが強まり、FRBが金融政策の変更に追い込まれる

 ③(ワクチン要因)

   「新型コロナウイルス・ワクチンが有効・普及することで経済活動が回復する」という基本シナリオが変更を余儀なくされる。新型コロナウイルスの変異株が現れることで、ワクチンの有効性に疑念が生じる。さらに「カネ余りの需給相場」という構造要因が転換する場合も想定される。

 ④(日銀要因)

  物価目標達成の為に株式ETFの買い付けを継続しているが、3月に発表予定の「政策点検」の内容に「ETF購入の縮小・休止」が匂わされる

 ⑤(センチメント要因)

   現状の株価は経済実態から乖離していて“過熱状態にある”と認識しているものの、買うと儲かることから資金投入している投資家が、心理的要因にブレーキがかかり、“ババ掴み競争”から逃げ出そうというセンチメントに転換する

今年の最大の注目点は「米国長期金利の上昇」。

従って、上記の①の金利要因をまず注視すべきだろう。米国長期金利は“2021年は強含み”との見方が一段と強まっている。現時点では、「年内に1.4~1.5%程度まで長期金利は上昇する」というのが市場センチメントか。

ゴールドマン・サックスは、10年債利回りが今年末にかけて1.30%を付けると予想している。

モルガン・スタンレーは、年末に1.45%程度を想定し、ワクチンの供給が早まる場合には1.75%まで上昇するとしている。

FRBが当面どこまで長期金利上昇を容認するのかが注目ポイントである。

 ① 景気回復を伴った“良い金利上昇”ならば、しばらくは容認する

 ② 政府債務・債券発行を嫌気した“悪い金利上昇”なら、ブレーキを掛ける

 ③ 金利上昇を嫌気して株価が反応しても同様の歯止めを掛ける

ことが想定される。

(c)株式会社グッドバンカー
顧問
田淵英一郎

(ご留意頂きたい事項)
本稿で記載されている経済統計および金融市場データは発表元ならびに各種の情報媒体から入手・加工したものであり、正確性と安全性を必ずしも保証するものではありません。記述の内容は筆者の個人的な知見、判断、著述形式に拠る投資情報と投資アイデアの提供が目的であり、予想の結果や将来の投資成果を保証するものではありません。

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