ブルゴーニュワインはSDGs ?

当社のアナリストがこの1月、ワインで有名なフランス、ブルゴーニュ地方のボーヌ(Beaune)という街を訪ねました。

そこで「これぞまさしくSDGsでは ?」と思わせられた街の歴史についてご紹介しましょう。

ボーヌは、かつてのブルゴーニュ公国の中心地で、フランドル地方にまでおよぶ華やかな文化が醸成された都でしたが、イギリスとの百年戦争(1339-1453)により領土は荒廃、コレラが猛威をふるって、市民は貧困と飢餓に苦しみました。当時の領主、フィリップ善良公の宰相ニコラ・ロランは1443年、夫人とともにこの地の中心にオスピス・ド・ボーヌHospices de Beauneという貧しい人たちのための施療院を建設し、病人を収容しました。

この施療院は現在も美しい姿を保ち、多くの観光客を惹きつけていますが、その特徴はモザイク模様のカラフルな屋根とゴシック建築の尖塔です。この意匠に富んだ建物の装飾や建築をボーヌの職人に発注することにより、まず雇用を創出しました。そして、貴族たちから寄進をうけた周辺のぶどう畑を所有・栽培してワインを醸造し、その収益で、市民に無料で治療を施すことが可能となりました。

内部の「貧者の間」には、壁際にベッドがずらりと並べられ、奥には礼拝堂が整備され、病人がミサを受けられるような配慮がなされています。また、ニコラ・ロランは調度や絵画にも心を配り、掲げられたファン・デル・ウェイデンの「最後の審判」の祭壇画は、フランドル絵画の傑作として現在も称えられています。

寄進を受けたぶどう畑は、現在60ヘクタールを超え、ここから「オスピス・ド・ボーヌ」のラベルを持つ高品質ワインが醸造されて、1859年よりこの館で、ワインオークションが開かれることとなりました。毎年11月の第3日曜日に開かれるこのオークションは、世界でもっとも人気のあるワインオークションの一つであり、その売上は、伝統に基づいて慈善団体に寄付されるほか、施療院の運営費に充てられています。現在は、博物館や看護学校も持っているそうです。

このように荒廃したブルゴーニュの復興のための様々な取り組みが、雇用を生み出し、地域の持続可能性をもたらしたと言えます。おいしいブルゴーニュワインを飲んで、SDGs(国連の持続可能な開発目標)に思いをはせてみてはいかがでしょうか。

参考:ボーヌ施療院公式サイト(仏語)

http://hospices-de-beaune.com

フランス観光局~ボーヌの施療院について

https://jp.france.fr/ja/bourgogne/article/94017

株式会社グッドバンカー
リサーチチーム

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