ESGは空気にも投資する?

アメリカとイスラエルによるイランへの先制攻撃に対し、イランがホルムズ海峡を事実上、封鎖したことにより、エネルギー価格が上昇しています。国内でも既にガソリン価格が値上がりしており、家計への影響が懸念されています。
そればかりではありません。ホルムズ海峡は、世界のLNGの約2割が通過しており、こうした石油高、LNG高の影響は多方面に波及することが予想されます。電気料金をはじめ、輸送コストの上昇により食料品や工業製品などのあらゆる輸入品価格の高騰など、サプライチェーンや最終製品にも影響することが指摘されています。
堅調に推移していた日経平均株価も、物価高や景気の先行き不透明感を背景に下落基調となり、中東情勢の早期安定化が求められています。

2025年10月、京都大学高等研究院の北川進特別教授が、多孔性材料の一種である金属有機構造体(MOF)を開発し、ノーベル化学賞を受賞しました。多孔性材料とは、目に見えない微細な孔を無数に持ち、特定の気体などを効率よく貯蔵・分離できるもので、MOFは環境や産業など幅広い分野への応用が期待されています。
北川氏は、あるインタビューでこう語っています。「多孔性材料を応用し、空気を原料にエネルギーを作る社会を作りたいと考えています。空気中のCO2や水蒸気を原料として、たとえば液体のメタノールなどを合成し、エネルギー源として活用するのです。化石燃料のコストがこれだけ上がると、資源国であるアメリカや中国にはもはや太刀打ちできません。もし空気資源を使うことができれば話は変わります。空気は小国にも大国にも平等に存在するからです。それで『空気は目に見えない金』と言ったのです。」
この多孔性材料を活用すれば、トレーラー一台で燃料をつくることができ、大規模発電所が災害で遮断されても地域ごとにエネルギーを自給自足できる――。どれほど時間がかかるかわからないがそれを実現させたいと、北川氏は述べています。
既に、MOFを製造している日本企業はいくつかあり、実際にメタノールや合成ガス、水素やバイオ燃料などに応用されている事例はあります。また、化学メーカーは、CO2を原料としたポリカーボネートやポリウレタンなどのプラスチック原料を国家プロジェクトとして開発中です。
日本は、原油輸入の93.5%を中東に依存しています。エネルギーの安定供給への懸念が広がる中、こうした新たな技術革新は持続可能な社会構築に寄与するものです。さらに、CO2を原料とすれば、大気中のCO2の固定化・削減に貢献することもできることから、ESG投資の対象としても注目しています。

株式会社グッドバンカー
リサーチチーム

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