働き方の模索は続く

コロナ禍が始まった2020年より、出社比率を低減させるため、企業のテレワークが一挙に導入されました。初めて「緊急事態宣言」が発令され、外出自粛が呼びかけられた2020年4月から約2年半を経て、企業の働き方は様々に変化してきています。

内閣府の調査によると、コロナ前の2019年12月時点のテレワーク実施率は10.3%だったのに対し、2020年5月に一気に27.7%となり、2021年9-10月時点で32.2%と、約3倍に増えています。東京都だけで見ると55.2%となっており、その実施率の高さがうかがえます。

テレワークが浸透した今、企業の取り組みも多様化しており、在宅勤務者が増えたためオフィス面積を減らす企業や、社員は国内のどこでも居住可能とし、出社が必要になった場合は飛行機の利用も認めるとする企業なども出てきています。

もちろん、テレワークが不向きあるいは不可能な業種や業態、また企業規模もあり得ます。実際、テレワークの実施率は、従業員数が多い企業ほど高く、また業種によっても差があります。

一方で、2022年に入ってウィズコロナの考え方が定着しつつあり、政府も8月に感染者数の全量把握を見直すなど、風向きが変わってきています。企業も、社員同士での対面での業務が少ないことによるコミュニケーション不足を懸念しており、特にコロナ禍以降に入社した1、2年目の社員は、業務に慣れないうちからリモートワークが多く、上司や先輩社員からの指導を受ける機会が少ないという問題も出てきています。

アメリカでも、テスラの最高経営責任者イーロン・マスク氏が、実質的なリモートワーク禁止令を発表したことが話題になりましたが、マイクロソフト社が実施した調査によると、出社を求める企業は増えてきているようです*。

今月21日に閣議決定された2022年版「過労死等防止対策白書」では、テレワークに関する調査結果を報告しており、テレワークと出社との適度な組み合わせで幸福感が得られるとの分析結果を示しています。

各企業がいかに従業員の意欲と能力を引き出し、生産性向上につなげていくのか、働き方の最適解を模索する動きは各社の競争力、ひいては株価にも影響するものとして、今後とも注目していきます。

*Microsoft, 2022 Work Trend Index: Annual Report “Great Expectations: Making Hybrid Work Work”

株式会社グッドバンカー
リサーチチーム

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