パリ市の“1 Parisien 1 arbre (パリ市民1人・木を1本)”プロジェクト

●プロジェクトの概要

パリ市は2007年10月より、「市民1人が木を1本植え、温暖化に立ち向かい、森をつくろう」と呼びかけ、パリジャン・パリジェンヌから寄付を募り、森林伐採が深刻化するカメルーン、マダガスカル、ハイチに植樹を行うというオペレーションを進めています。この呼びかけに賛同した市民は、パリ市のサイト(www.1parisien1arbre.com/)上にあるオンライン募金を通して、1人5ユーロの寄付で森林破壊が進む地域に木を1本植えることができます。200万人のパリ市民が木を1本ずつ植えれば、200万本の木が植えられ、2,000ヘクタールの森が誕生することとなります。

2007年にパリ市は、ベリブと呼ばれる貸自転車制度の導入など様々な温暖化ガス削減対策を打ち出しましたが、中でもこの“1 Parisien 1 arbre”プロジェクトは、地方自治体が住民の寄付により途上国の森林を再生させる、というインターナショナルな広がりを持つ新しい形の取り組みです。そしてこのオペレーションは、植林が行われる発展途上3カ国の地域経済を活性化し、社会経済的な効果も生み出すと同時に、パリ市民と森をつくる地域コミュニティの人々との連帯を実現するものでもあります。

パリ市は“1 Parisien 1 arbre”プロジェクトを始めるにあたり、ONF International(フランス林野庁国際部)が行った調査結果から、このプロジェクトの運営をAIMF(Association Internationale des Maires Francophones‐フランス語圏市町村長連合)に委託し、AIMFは無料でその人的資源と技術を提供しています。また、ONF Internationalは、このプログラムのための技術的なエンジニアリングを担当し、さらに、プロジェクトが実施される地域の自治体、官庁、林野庁、NGO等も連携して取り組みは進められていきます。

●3つの地域のチャレンジに市民レベルで連帯

(1)カメルーンに森林をつくる!

カメルーンは国土の45%が森で覆われ、コンゴから広がるその森林地帯はアマゾンに次ぐ世界第二の熱帯雨林です。このカメルーンの森が、開発と人口増加による森林破壊の危機にさらされており、“1 Parisien 1 arbre”プロジェクトでは、地域の自然の森を守るために1,000ヘクタールの土地への植樹を計画しています。

(2)1,000ヘクタールのマダガスカルの地に役立つ樹木を植えよう!

マダガスカルはこの20年間に森林の面積が75%も減少し、現在もなお年間2.5%の割合で森林破壊が進んでいます。“1 Parisien 1 arbre”プロジェクトでは、1,000ヘクタールのサバンナに、ユーカリ、果樹、地域に適した樹木などを植える計画です。

(3)ハイチ共和国の小規模自営業者を助けよう!

ハイチでは90年代に大規模な植林事業が実施されましたが、地域の経済状況を十分考慮に入れなかったため、明確な効果をあげることが出来ませんでした。しかし、2000年以降に実施されている小規模事業は、地域の経済に密着し、果樹等の植林を進めているため、面積的には限られていますが、目に見える効果が出てきています。そこで、“1 Parisien 1 arbre”プロジェクトでは、トータルでおよそ100ヘクタールほどの小規模の森林再生をこの地方の小さな事業者とともに進めていくことを計画しています。

これらのプロジェクトの進捗状況ですが、最初の植樹が2008年6月にカメルーンのフムバン(Foumban)とトンガ(Tonga)のコミュニティで行われました。フムバンには31,000本、トンガには25,000本のユーカリ、アカシア、テック(tecks)が植えられ、その面積はトータルで50ヘクタールとなっています。

参考資料: パリ市のホームページ: http://www.1parisien1arbre.com/

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