いよいよ25年4月より、1970年以来55年ぶりに大阪での開催となる「大阪・関西万国博覧会」が開催されています。開幕前には、会場内で基準値以上のメタンガスが検出されるなど、安全性への課題が指摘されましたが、早急に対処され、現時点までは再発しておりません。
今回の万博のテーマは、「いのち輝く未来社会のデザイン」。開催にあたっては、「持続可能な大阪・関西万博開催に向けた方針」、「人権方針」を策定し、脱炭素・資源循環に配慮した万博を実現するための「EXPO 2025 グリーンビジョン」、適切な調達を進めるための「調達コード」の策定・運用、「持続可能性行動計画」の公表を定めています。
1970年に日本で初めて開催された万博は、「人類の進歩と調和」のテーマのもと、「夢のエネルギー」とも言われた原子力発電による電力が利用されました。開催期間に6421万8770人を動員し、1日の最高入場者数が83万6千人にものぼった当時からは、半世紀が経ち、世界の状況も原子力を取り巻く環境もずいぶんと様変わりしました。
特に、2030年を達成目標年とする「持続可能な開発目標(SDGs)」や、「パリ協定」に基づき、2030年に向けたCO2排出量削減に向かうさなかに開催する万博ということもあり、これからの未来社会を見据え、経済発展と社会課題解決の両立をめざす技術を世界に発信していくことが求められています。「EXPO 2025 グリーンビジョン」では、省CO2・省エネルギー技術の導入や再生可能エネルギー等の活用により、温室効果ガス排出量の抑制に徹底的に取り組むことを掲げ、水素社会やカーボンリサイクル技術などについて、2050年カーボンニュートラル達成に向かう技術の具体像を提示することが示されています。
また、開催後も見据えた建材や設備、什器等のリユースの促進や、食品ロスを削減するためのフードシェアリングの仕組みの導入など、サーキュラーエコノミーへの取り組みも進めています。さらに、「ユニバーサルデザインガイドライン」に加えて、運営サービスに特化した「ユニバーサルサービスガイドライン」に基づいて会場を運営する初の万博であることも謳っています。
万博の開催方針の中には、めざすべき方向の一つに「会場の整備・運営において、民間企業と連携することにより、地域産業の活性化に寄与する」とあり、「『もの』だけでなく、『生活』を豊かにし、可能性を広げることにつながる社会や環境に関する知見をレガシーとして、次世代に継承する」と掲げています。万博に足を運ぶ人もそうでない人も、日本での開催を機に、一人ひとりが持続可能な未来への知見と意識を高め、その観点から投資先を選ぶことも、経済発展と社会課題解決の両立に寄与し、「いのち輝く未来社会のデザイン」づくりに参画することになると言えるのではないでしょうか。
株式会社グッドバンカー
リサーチチーム