TISFD――企業のサステナビリティをESGで見極める新しい指標

7月19日、アメリカ、カナダ、メキシコで開催された「FIFAワールドカップ2026」が閉幕しました。今大会は、初の3ヶ国共同開催となったほか、需要に応じてチケットの価格が変わる「ダイナミックプライシング」が初めて採用されたことでも注目を集めました。

しかし、決勝戦のチケットは最低価格がおよそ243万円だったとの報道もあり、このようなチケット価格の高騰による「参加機会の不平等」が問題視されることになったのです。

チケット価格の高騰は、参加できる人が限定され、社会的格差ひいては社会的排除につながるとして、公共イベントであるはずのワールドカップに対し、市場原理だけで価格が決まることへの批判の声があがることになりました。

2025年12月に世界不平等研究所が発表した「World Inequality Report 2026(世界不平等報告書2026)」は、世界の格差がますます進んでいると述べています。例えば、世界でもっとも裕福な上位10%の人々が、全体の53%の所得と75%の富を占めている一方で、下位50%の人々はわずか8%の所得と2%の富となっています。

そして、炭素排出量は、世界の下位50%の人々がわずか3%であるのに対し、最も裕福な10%の人々が77%を占めています。このほかにも、男女間の所得不平等が依然として続いていることなども指摘しています。

不平等は経済面だけでなく、医療、教育、衛生といった基本的サービスへのアクセスにも及び、その人々の人権をも損ねかねません。そしてそれは、経済成長を阻害するばかりか、社会的不和を高め、暴力や紛争の引き金にもなると、国連は指摘しています。

今年5月、「人権・不平等」を財務情報として扱う新しい国際枠組み「不平等・社会関連財務情報開示タスクフォース(TISFD)」の初版草案が公表されました。7月いっぱいまで公開協議を通じて意見を募集し、2027年に最終版が発行される予定です。

TISFDは2024年9月に発足し、社会的不平等に起因するどのようなリスクと機会があり、それらに対して企業や金融機関がいかに対処しているのかについての情報開示フレームワークの開発に取り組んでいます。

すでに多くの企業が対応しているTCFD(気候変動関連財務情報開示タスクフォース)やTNFD(自然関連財務情報開示タスクフォース)とともに、TISFDは企業活動における「人」や「社会」に関する課題の可視化を進め、気候・自然・社会を統合した情報開示を促すことを目的としています。 企業の持続的な成長は、持続可能な社会の中でしか達成しえないことは、昨今の不安定な世界情勢からも明らかです。ESG投資の一環として、TISFDに各社がどのように対応するのかに注目しています。

株式会社グッドバンカー
リサーチチーム

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