ESGは平和に投資する

世界の軍事費が、過去最大を更新しました。イギリスのシンクタンク「国際戦略研究所」が今年2月に発表した、世界の軍事情勢を分析した最新の「ミリタリー・バランス」によると、2025年の軍事費は名目ベースで約400兆円にのぼったとしています。ロシアの脅威にさらされる欧州が21%増加したほか、中国は7%増でアジア地域全体の44%を占めるなど、大きく伸ばしています。一方でアメリカは5%減となっていますが、同国は2026年に入ってからイランへの攻撃に1日あたり約8億9140万ドル(約1400億円)が費やされたとの報道もあり、今年は急増すると予想されます。
今年3月、NATOは2014年に合意した「全加盟国が防衛費をGDP比2%以上とする」という目標を達成したと発表し、新たに2035年までに5%に高める目標を掲げています。今後も、軍事費への支出は増加すると見られます。
不安定な世界情勢を受けて、世界的な防衛関連株への投資が拡大しており、既に2024年の世界トップ100防衛企業の防衛関連売上は約6,700億ドルで過去最高となっています。
地政学的リスクを強く認識する欧州では、一部で防衛産業が持続可能な社会のために必要だと考えるようになっています。そのEUと、日本は防衛産業の協力強化に向けた「防衛産業対話」の初会合を、今月17日に開催しています。地政学的な緊張が高まる中、防衛装備品の開発や生産で連携する方針です。
国防という観点から、軍需産業が防衛産業とネーミングを変えて投資が加速しています。しかし、本当に国を守るということ、一国の安全保障というものは、もっと広く捉えられるべきではないでしょうか。ある研究によれば、紛争当事国がお互いに軍拡に走った場合は戦争状態になることが多く、外交や文化交流などの努力はその抑止力になるとのことです。ですから、より直接的に「平和」に投資するムーブメントがあっても良いのではないかと考えます。これまで、年金基金や大学基金などの機関投資家が、軍需産業を投資対象から除外する、いわゆるネガティブ・スクリーニングによる投資を行うことで、戦争に加担しないという意思表示をしてきました。今後は、より積極的に平和構築を後押しするような「ポジティブ・インパクト」を測定し、そこに投資する――教育機会の提供や貧困削減・雇用創出など紛争の原因となる要因を防いだり、紛争リスク低減に寄与するという研究も多数ある、女性の社会参加を促す活動をしている企業に投資することで、平和構築に寄与することができるのではないでしょうか。その他にも、国際交流や災害支援活動、サプライチェーンにおける人権への取り組みや文化・芸術振興、コミュニケーションの活性化につながる通信サービスや旅行業など、様々な投資先が考えられます。平和が求められる今こそ、投資を通してその構築に貢献したい――。そんな願いを実現できる投資商品を世に出すことが、弊社のESGだと考えます。

株式会社グッドバンカー
リサーチチーム

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