株式会社グッドバンカー
ワールドエコレポート

オーストラリアのSRI

January 2002

2001年8月に金融サービス法を改正したオーストラリアでは、今後、民間の年金商品は、株式に投資する際、企業の環境的、社会的パフォーマンスをチェックすることが義務づけられます。 11月には、ヴィクトリア州の公務員年金基金が資産の10%をSRIで運用すると発表しました。また、連邦政府の公務員年金基金もSRIの一種であるコーポレート・ガバナンスの観点から運用をチェックするとしています。オーストラリアでは労働党政権下で年金改革が進み、いわゆる確定拠出型の年金制度が導入されました。ですから労働組合も、株式市場の重要性に理解があり、日本の"連合"にあたるオーストラリア労働総同盟も、組合員に対して、株式投資への理解を深めるための、情報提供をするサービス会社を自前で持っているほどです。

このように、制度面の充実がはかられる背景には、実は、オーストラリア企業の環境対応度が、それほど進んでいないという事実があります。上位100社のうち、EMS(環境マネジメントシステム)を構築しているのが、10社、また環境報告書を作成しているのも20社にすぎません(モナシュ大学、SIRIS社などへの聞き取り調査より)。 ただし、オーストラリアでは、資源開発セクターが巨大産業で、NGOなどからのプレッシャーも強いので、これらの産業のいくつかの企業では、環境報告書もしっかりしており、規制の先をゆく姿勢が見られるとのことです。

どの国でも年金基金は、世界中の株式に分散投資をしており、アメリカ最大の公務員年金基金カルパースとイギリス最大の年金基金ハーミーズは提携して、投資先企業の情報を交換しています。オーストラリアの年金基金も日本企業の環境パフォーマンスに大きな関心を寄せています。今後とも社会的存在としての企業のあり方に対して、明確な哲学を持ち、それをきちんと開示していくことが、ますます求められていくでしょう。