株式会社グッドバンカー
ワールドエコレポート

アメリカ合衆国の社会的責任(NSR-National Social Responsibility)は?

October 2002

企業の社会的責任(Corporate Social Responsibility)に関するリサーチおよびコンサルティングを専門に行っている英国のMHC International社は、社会的責任という概念は、公的であるか、民間であるか、また規模の大小に関わらず、すべての組織や機関、そして国家にさえ適用できるのではないか、という提案をしています。

同社は、国家の社会的責任(National Social Responsibility)を評価することは、企業の社会的責任を評価するよりもずっと複雑であるとした上で、ブッシュ政権下のアメリカ合衆国について、ステイクホルダーへの社会的責任という観点から、以下のような評価を行っています。

  • アメリカ合衆国のステイクホルダーは、企業の経営層にあたる政府とその支援者(共和党、利益団体)、議会、従業員にあたる官僚・軍隊・警察、国民、環境、そして国際社会である。
  • アメリカ合衆国では(企業であればその経営層にあたる)政府とその支援者が影響力をもつ。ブッシュ大統領をサポートする利益団体、特に石油メジャーはアメリカ政府に対して極めて大きな影響力をもっており、それは京都議定書からの脱退といったアメリカ政府の環境政策に表れている。
  • アメリカ合衆国が(企業であればその従業員にあたる)官僚や軍隊を重視していることは間違いない。しかし、アメリカ合衆国の軍隊は既に世界最強であり、これ以上強化する必要はないと多くの人が考えているであろう。
  • アメリカ政府は国民の声には慎重に耳を傾けるが、国際社会や地球環境への対応は良くない。それはアメリカ政府の人権、環境、武器管理等に関する国際条約からの脱退や、国連といった国際機関を非常に軽視する態度に表れている。

MHC International社はアメリカ合衆国についてこのような評価を行った上で、国家が社会的責任を果せないのであれば、企業に社会的責任を果すことを期待できるはずがないと述べています。

企業の社会的責任だけでなく、国家の社会的責任―National Social Responsibility(NSR)―が今後注目されてくるのではないでしょうか。そしてNSRが国家を評価する新しい尺度の1つとなり、NSRの向上が中長期的には国家の国際競争力の向上につながるのだという考えが世界で広まれば、国家は変わるはずです。NSRの高い国で生活したい、仕事をしたいと思う人が世界中で増えれば、NSRへの取り組みが国際競争力の向上をもたらすということが現実のものとなる可能性があります。NSRという視点から国家が評価されるようになったとき、日本はどのような評価を得ることになるのでしょうか。

<参考>MHC International社