株式会社グッドバンカー
ワールドエコレポート

ミュンヘンのカーシェアリング

March 2003

最近、「交通需要マネジメント(Transportation Demand Management-TDM)」という考え方が日本に紹介され、その具体例としてカーシェアリングが注目を浴びています。カーシェアリングは、複数の個人による自動車の共同所有と利用が発展したもので、1980年代後半にスイスから始まったとされ、その後、ドイツなど、欧州各地に広がり、最近では、アメリカの都市でも事業が展開されているそうです。

今回は、数年前、ドイツのミュンヘンを訪ねた際に知ったあるカーシェアリングシステムについてご紹介しましょう。これは、1991年にプロテスタント教会系のNPO(非営利団体)が始めた会員制のもので、1700人のメンバーから構成され、70台を所有しています。この70台は、フィアットなどの小型乗用車からワゴンカー、コンテナ車、ミニバス、ジープまであります。さすがにレーシングカーはないそうですが、運転免許を持っている人は誰でも会員になれます。

入会に際しては、1,000.00DM(67,000円)の預託金、200.00DM(13,400円)の入会金、毎月の会費として12.00DM (804円)が必要です。預託金は、退会に際して、全額返還されます。車のレンタル料は、車種によって違うのですが、1日25.00DM(1,675円) から70.00DM(4,690円)といったところです。それに加えて、走行距離1キロごとに0.31DM(約20円)から0.65DM(約43円)払いますが、これもやはり車種によって違います。また、時間制でも借りることができ、例えば、1時間2.50DM(167円)の小型車を3時間使うとすれば、2.50DM(約167円) X 3 =  7.50DM(約500円)です。さらに、1キロ当たり0.31DM(約20円)の車で20キロ走ったとすれば、0.31DM(約20円) X 20 = 6.20DM(約400円)となり、レンタル料金の合計は、走行時間の7.50DM(約500円)+走行距離の6.20DM(約400円)= 13.70DM(約900円)となります。

ちなみに、この値段は、すべての事故に対応する保険料込みで、電話で予約をして24時間いつでも借りだせます。予約を受けるのは、ミュンヘンタクシー協会です。ミュンヘンでは、24時間タクシーの予約が可能なのですが、その無線システムを使わせてもらい、タクシー協会には手数料が支払われます。タクシー業界はとても協力的だそうですが、それはこのカーシェアリングシステムのメンバーが、「いずれは、年をとって自分が運転できなくなった時、タクシーのお客さんになるからだ」というのには、なるほど、とうなずいてしまいました。

また、70台の車のための駐車場がミュンヘン市内に30ヶ所あり、教会や赤十字の駐車場、また商業地域などを予約していて、どこにどの車種の車が駐車しているかは、常時、会員に通知されます。駐車場で、IDカードを入れ、鍵をとりだして、車を借りだします。バカンスシーズンの夏には、ディーラーとの特別契約で、臨時に車を借りて会員の便宜をはかっています。支払いは、二ヶ月ごとに請求書が来て、銀行口座からの自動引き落としです。何時に借りて、いつ返したのか、走行距離は、いくらかなどは自己申告です。最初にタクシー協会に電話予約をした時の記録が録音されているので、申告書との違いはきちんとチェックされます。さらに、車を返す前には、次の人のためにガソリンスタンドに寄って満タンにし、洗車をし、車内もきれいにします。もしそうしなければ、次のユーザーからNPO に連絡が行き、本人に警告されます。反対に、掃除がいき届いていて、次のユーザーがその旨を書けば、ボーナスとして10.00DM(670円)が返されます。料金や利便性など様々な面で、お互いに、気持よく車を使用するためのしくみが、うまくできていますね。

* 本文に書かれている料金体系はすべて当時のもので、DMの換算レートを67円とし、小数点以下を切り捨てとして計算しています。