株式会社グッドバンカー
ワールドエコレポート

イスラム教とSRIの関わり

May 2003

先般のイラク戦争は、イスラム教とキリスト教という2つの宗教の要素が表われた戦争とも言えます。宗教はSRIとも関連が深く、キリスト教団体がその価値観を反映した投資をしたことがSRIの始まりと一般に言われています。また、近年、宗教団体によるSRI投資が増加していることは、以前ワールドエコレポートでご紹介した通りです。そこで、今回はイスラム教とSRIの関わりについてご紹介します。

イスラム教が独特の経済思想を持つことはよく知られており、イスラム教の教義に則った金融商品は多数あります。古くはイスラム銀行から最近ではインデックス(株価指数)や投資信託の組成など多岐にわたります。通常のSRIインデックスが、環境、人権、労働環境といった点で企業を選別するのに対し、イスラム教のインデックスでは、イスラム教の教えに則って企業の選別を行なっています。

例えば、イスラム教の教義を取り入れたインデックスを提供しているダウ・ジョーンズ社の「Islamic Market Index」では、アルコール、豚肉、非イスラム的従来型金融業(禁じられている利子の取得を行なう金融業)、娯楽(ホテル、カジノ、映画、ポルノ、音楽)など、イスラム教の法律である「シャリア法」が禁じる事業に携わる企業が排除され、投資ユニバースが形成されています。また、こうした観点から投資を行なう投資信託も数多く存在しており、ある調査結果によれば、2003年4月現在、全世界で100ほどのイスラム投資信託があるそうです。

また、1970年代頃からイスラム諸国を中心にイスラム銀行の設立が相次ぎ、現在では世界で250行以上のイスラム銀行が存在しています。シャリア法では不労所得である利子の取得を禁じているため、イスラム銀行は独特の運営形態をとり、預金者に対して利子の受け取りを拒否するオプションを設けているところが多いようです。ただ、シャリア法では利子の取得は禁じられているものの、事業に投資をして利潤を得る事は禁じられていないため、イスラム銀行は投資事業からの収益という解釈をすることで利益を得ています。

預言者ムハンマドの最初の妻も、ムハンマドのキャラバンに対して、イスラム銀行のようにイスラム教の教義にそった形で投資を行なっており、ある意味では、世界で最初のSRIは1400年も前にイスラム世界で誕生していたとも言えそうです。