株式会社グッドバンカー
ワールドエコレポート

日本の着物を用いた新しい環境ファッション産業

June 2003

環境問題の改善のため、私たちが日々の暮らしの中で見直していかなければならないこととして、物の3R、すなわちリデュース(廃棄物の発生抑制)、リユース(使用済製品等の利用)、リサイクル(循環利用)がよく挙げられます。さらに、この3Rに、「リメーク」という概念も新たに付け加わりつつあります。これは、本来であれば不用品として捨てられるはずだったものに、新たな付加価値をつけて再生(リメーク)することを言います。

最近、リメーク商品として人気が高いのが、和服のリメークです。生活スタイルの欧風化などで、和服を着る機会が減り、せっかくの着物がタンスのこやしになっていたり、祖母や母から残された着物の処理に困ったという経験をお持ちの方は多いのではないでしょうか。一説によれば日本全体で着られないまま退蔵されている着物の価値は6兆円とも言われるそうです。今回は、日本の伝統的な着物や帯をイブニングドレスなど、デザインで付加価値をつけた洋服にリメークする取組みを30年以上も継続し、海外の展示会などで大きな反響をよんでいる、京都の山田起美代さんの取組みを紹介します。

山田さんの手でよみがえった古着物はこれまで1万枚以上にもなり、この度、そのお仕事に対して、三重県主催の日本環境経営大賞表彰委員会から、「独創的環境プロジェクト賞」が贈られました。もともとは洋服のデザイナーだった山田さんですが、ある時、着物は日本文化の集大成であり、無限の可能性をひめたマテリアル(素材)ではないかと気がつきました。そして、着物を研究すればするほど、無駄なくまわして作り直す「リユース」がはじめから計算されていることに驚き、着物こそエコデザインではないかと思い至ったそうです。

1981年から10年間、アジアの貧しい国々をサポートするボランティアグループのお母さん達に、洋裁を教えたこともあります。その時も和服地を選びました。その後、「着物を洋服にリメークする」プロジェクトを立ちあげ、個展や展示即売などを実施したところ、マスコミに報道されました。それからは、毎日のように全国から古着物が送られてきて、大変なブームを巻き起こしました。また、カンボジア難民キャンプで、洋裁技術指導を実施したこともあります。その時も不要になった古い和服地が民族衣装や洋服、小物などにリメークされ、その売上で難民の人々の生活向上と自立が可能になりました。

2002年のロンドンのジャパン・フェスティバルでも、山田さんのリメーク着物ドレスは評判になり、今年はドイツのファッション見本市への出展が決まっています。また、フランス、オーストラリアからも引き合いがあるそうです。このように世界的に引き合いが拡大している状況を見ると、着物のリメークは一つの新しい環境ファッション産業と言えるのかもしれません。今後の発展を期待したいですね。