株式会社グッドバンカー
ワールドエコレポート

赤い革のペンケース

September 2003

ある日、葛飾のさる工業所から、赤い革のペンケースに入ったシャープペンシルが届きました。今年の2月にペン先部分が折れて以来、実に7か月振りに手元に戻って来たのですが、綺麗に磨かれ、もちろん折れた部分も元どおりになってケースに収まっていました。

実はこのシャープペンシルは、この7か月間に4回修理に出して、どこでも直らないと言われたものです。4回目の修理を頼んだアンティーク万年筆を扱う店のオーナーが、もしかしたらと紹介してくれたのが、葛飾のこの工業所でした。早速、教えてもらった電話番号にかけ、2月からの経緯を説明すると、いとも簡単に「では蝋付けしてみますから、送ってください」との返事がかえってきました。今度直らなかったら諦めようと、思いながら送ったのですが、なんと1週間もしないうちに、元どおりになって戻ってきたのです。

以前ワールドエコレポートで、スイスのさるお宅でワイングラスの高さが、微妙に違うことに気がつき、不思議に思ってじっと見ていると、当主が縁のかけたワイングラスを、カットし直して使っていると教えてくれ、ガラス職人さんで、このような修理もやってくれる人達がいるというお話を、ご紹介したことがありました。その時、最近の日本では、このような修理をしてくれる職人さんがみつからなくなったと感じていたので、シャープペンシルが戻って来たときは、とても嬉しく、また少し誇らしく思いました。

環境問題の観点からいうと、循環型社会というのは、要するに廃棄物を出さないということだと思うのです。そのために私たちにできる環境活動の第一歩は、 “モノを大切にすること”ではないでしょうか。しかし一旦壊れてしまったシャープペンシルは、このような職人さんの技がないと単なる廃棄物になってしまいます。ですから、このような“職人さんの技を大切にする”ことも、私たちの環境活動につながるように思えました。

シャープペンシルが入っていた赤い革のペンケースは、工業所からのプレゼントでした。同じメーカーの空ケースにわざわざ入れて送ってくれたのですが、何か職人さんのプライドと、洒落っけが伝わってくるような気がしました。