株式会社グッドバンカー
ワールドエコレポート

2003年は日本のCSR経営元年?

December 2003

最近、CSR(Corporate Social Responsibility、企業の社会的責任)という言葉が急速に浸透してきました。企業の社会的責任はこれまでも問われてきましたが、近年は幅広いステークホルダー(利害関係者)への配慮が意識されつつあります。

ニッセイ基礎研究所の上席主任研究員・川村雅彦さんによれば、2003年1月1日にCSR室を創設したリコーを皮切りに、ボーダフォン(旧J-フォン)、帝人、ソニー、松下電器産業、ユニ・チャーム、東芝など、CSR経営に力を入れる企業が増えてきました。社内横断的なCSR専任組織の設置やCSR担当役員の任命などの動きは、昨年までは見られなかったことです。それゆえ、川村さんは2003年を「CSR経営元年」と呼んでいます。しかし、「企業の社会的責任」という言葉が日本で初めて登場したのは、実は約50年前、1956年の経済同友会の決議だそうです。

さる12月9日、滋賀県経済同友会での川村さんの講演によると、日本では、ほぼ10年周期で企業の不祥事や批判が起こるたびに、企業の社会的責任に関する議論が再燃するパターンを繰り返してきました。

第I期
1960年代:
産業公害に対する企業不信・企業性悪説
⇒住民運動の活発化
第II期
1970年代:
石油ショック後の企業の利益至上主義批判
⇒企業の公害対策部新設、利益還元の財団設立
第III期
1980年代:
カネ余りとバブル拡大
⇒良き企業市民、フィランソロピー・メセナ
第IV期
1990年代:
バブル崩壊と企業倫理問題、地球温暖化
⇒社会貢献実践、経団連憲章の策定、企業による地球環境部の新設・増設
⇒1999年に日本初のSRI(社会的責任投資)型金融商品であるエコファンドの登場とヒット
第V期
2000年代:
相次ぐ企業の不祥事
⇒企業活動を環境への取り組みに加え、経営の透明性や公正性から評価するSRIファンドの登場
⇒企業がCSRに関する組織を新設、「CSR経営元年」へ

このように企業の社会的責任を巡る変遷の中で、CSRという英語の表現になっても、特別なものであるわけではありません。日本では1600年代初頭に全国的に展開した近江商人が、「三方善し」、すなわち「売り手善し、買い手善し、世間善し」を商人道の真髄としました。これは正にステークホルダーに資する価値創造にあたり、これこそ日本版CSRの原型では、と川村さんは紹介されていました。

「古きを訪ね新しきを知る」と言いますが、一見、最新のトレンドに見えることが、祖先の知恵そのものだったというのは面白いですね。