株式会社グッドバンカー
ワールドエコレポート

風力発電の世界

February 2005

ロシアの批准決定で、いよいよ京都議定書が発効しました。日本は2008年から2012年に、1990年と比べて6%のCO2の削減をしなければなりません。しかし、これが風力発電など化石燃料を使わない新エネルギーの普及につながるのではないかと期待されています。2003年4月には、電力会社に新エネルギーの利用を義務づける「新エネルギー等電気利用特別措置法(RPS法)」が施行されたことを契機に、風力発電の成長が加速され、2003年度の電力の導入量は、前年度比約47%増えているそうです。

今回は、日本の風力発電の第一人者であり、日本風力エネルギー協会会長、NEDO風力委員会委員長、また当社のエコリサーチにとっても頼りになる「風の神様(?)」の牛山泉先生(足利工業大学大学院工学研究科教授)に、お話をうかがいました。もともと、エネルギー変換工学がご専門で、ガスタービン、ジェットエンジンの研究をしておられた先生が、風力発電に関心を持たれたのは、石油ショック後の1975年、国際ガスタービン会議で、渡米した時だそうです。MIT(マサチューセッツ工科大学)で、ガスタービンの権威と言われていた尊敬する学者が、すでに風力発電の研究をしていたことに触発されたからだそうです。その時は、よもや風力発電がこのように一大産業になろうとは思わなかったのですが、とにかく子供の時からプロペラ機(つまり風車)が大好きで、風力発電機の形状をみていて、単純に楽しかったことが、研究を続けさせてきたのかも知れないと、おっしゃっています。

現在世界では、4,500万キロワット(原子力発電所、大型火力発電所45基分)くらいの風力発電の設備容量があり、ドイツ、アメリカ、スペイン、デンマーク、インド、日本、イギリス、中国の順になっています。風車には、何か人のロマンをそそるものがあるのか、日本でも市民から出資をつのる市民風車の運動が盛んになってきました。けれども、風力発電の不安定なところは、何事も風まかせであることで、風況の良いところは、もうあまり残っていないとも言われています。また、風が吹けば、風力発電にはよいはずだと思っていたのが、2003年9月11日の台風で、沖縄県宮古島の風車が壊れてしまったのには、何となくがっかりもし、釈然としないものが残りました。しかし、その点については次のようなことをうかがいました。

現在日本で750本ほどの風車がありますが、92%~93%程度がヨーロッパ(デンマークを筆頭として、ドイツ、オランダ)からの輸入になっています。もともとヨーロッパでは、風は40m以上は吹かないので、ヨーロッパの風車の耐風速(秒速何メートルの風に耐えられるか、という限界をあらわす)は、60mで設計され台風を想定していない、のだそうです。宮古島の風車のある岬では、最大風速が80m以上になったといいますので、倒壊したのはいたしかたのないことだったようです。しかしこれからは、日本のこのような風況の特性にあった、日本型風車の開発が急がれます。

また、2001年7月にとりまとめられた、総合資源エネルギー調査会の報告書では、2010年度には、風力発電で300万キロワットの設備導入を目指しています。一説によれば、化石燃料は、2050年で完全に衰退すると言われ、シェルやBP(ブリティッシュ・ペトロリウム)のような国際石油メジャーは、すでに脱石油の準備をはじめているそうです。シェルは、シェルソーラー、シェルウィンドという会社を持ち、BPが自分達はもはやブリティッシュ・ペトロリウムでなく、「Beyond Petroleum(ビヨンド・ペトロリウム=石油を越えて)だ」と言ったのは、有名な話です。「化石燃料のような持続しないものに頼っている社会が持続可能(サステナブル)なはずがない」というのが持論の牛山先生が、今注目しているのが洋上風力発電です。

次回は洋上風力発電について、ご報告しましょう。