株式会社グッドバンカー
ワールドエコレポート

マーシャル諸島と温暖化

May 2005

温暖化による海面の上昇で、ツバルなど太平洋島しょ国に深刻な影響があることはよく知られています。今月は、その中のマーシャル諸島共和国のアマタライン・カブア特命全権大使に伺った話をお伝えします。マーシャル諸島は太平洋のほぼ中央に位置し、120万平方kmに及ぶ海域に平行して点在する形で並ぶ 29の環礁と5つの独立した島から成っています。実はマーシャル諸島を含むミクロネシア(南洋群島)については1920年に国際連盟が日本に委任統治を認め、第二次世界大戦の終結まで日本の統治下にありました。そのため、ある年代の人々は日本語を話します。カブア大使自身、母方の祖父は鎌倉出身の日本人だそうです。ちなみに大使は、マーシャル諸島がミクロネシア連邦より脱退し、自治政府として発足した1979年以来、5期にわたり、大統領をつとめてきたアマタ・カブア大統領の令嬢です。日本へ赴任する前は首都マジュロ(ハワイのオアフ島から飛行機で4時間)の市長をつとめておられました。またマーシャル諸島のビキニ環礁とエニウェト環礁は、かつてアメリカの核実験場でした。1954年に日本の第5福竜丸が、操業中のビキニ環礁で、アメリカの水爆実験で被爆、乗組員が亡くなったことは、広島・長崎の記憶の癒えない日本中に衝撃を与えました。その時の第5福竜丸が、今は東京都立夢の島公園内の都立第5福竜丸展示館に展示されていることも大使が教えてくださいました。

大使によると、温暖化により海の潮位が上がり、土壌の流失とともにバナナやタロなどの主食作物、そして、パパイヤやキャッサバ、ココナツなどの有用な植物がどんどん少なくなっているそうです。これは島の伝統的な食生活に必要な植物が失われるということで、つまり国の伝統的なライフスタイルが失われるということなのだと大使が嘆いておられました。今では食料の約99%が輸入だそうです。また、エルニーニョがおこると、マーシャル諸島では3ヵ月ほど全く雨が降らず、干ばつになり植物は枯れ、道路や家もほこりで汚れても洗うことができず、人々は眼病に苦しむそうです。「もっと淡水化施設や太陽光発電また雨水利用の施設があればよいのですが」と大使もおっしゃっていました。温暖化が小さな国に与える負の影響について先進工業国はもっと知るべきだという大使の言葉は、日本人にとって耳の痛い話ではないでしょうか。

歴史的に日本とのえにしも深く親日的なマーシャル諸島共和国の温暖化問題に、日本としても関心を持ち続け、何ができるかを考えていくことは大事なことだと感じました。